サッカーをする子を持つ親の悩みの一つに中学サッカーはクラブチームに行かせるか、部活にするか、というものがあります。小学校高学年になればサッカーの進路を考える機会が増え、クラブに体験に行く子も周りに出てきますよね。「絶対クラブチームがいい」「勉強もできる部活しかない」こういった単一な考えだと、冷静な判断ができていないのに加えて入った後、後悔することにもつながります。
判断するうえで大事なのはやはり「どちらの選択が子供にとっての最善なのか」という点だと思います。その指標として今回は部活とクラブチームの違いをまとめてみました。子供とよく話し合う判断材料の一つとして、この記事を参考にしていただければ幸いです。
■時間
まずは時間です。ここではその違いを2種類ご紹介します。
①練習の始まりと終わりの時間
部活
部活では基本的に授業終わりの放課後の時間から下校時刻の約18時までとなっています。学校終わってすぐに始まるので時間のロスも少なく終わる時間が早いのも良い所ですね。
クラブチーム
約18時からのスタートで2時間ほどの練習になります。帰る時間が21時頃と遅くなってしまいまい、寝る時間も遅くなると思われます。宿題などは練習までに済ませることをオススメします。
②引退の時期
部活
中学3年の夏で引退となり、その後みんな受験勉強に勤しむようになります。
クラブチーム
引退はありません。中学3年の卒団するまでサッカーができます。
■ 練習・試合量
練習量・試合量は大きく異なります。平日の練習を同じものと考えても土日祝日は違います。部活だと土日のどちらか、もしくは半日のみという場合が多く、ゴールデンウィーク等の大型連休も半分ほどは休みになることが多いです。この理由は後程、解説します。対してクラブチームは、土日は強いチームとの試合、長期休暇も合宿や遠征といった日程が組まれるので練習や試合量はクラブチームが多いです。
■ 金銭面
お金はクラブチームが結構かかります。月々の月謝に加え、毎週末の移動費、ユニフォーム代やご飯代など様々です。長期休暇では合宿もあるので、ある程度の額は考えておいた方がいいでしょう。部活の場合は、ほとんどかかりません。月謝もありませんし、かかるといえば週末の試合で交通費1000円くらいだと思います。金銭的な負担を減らしたいのであれば部活一択ですね。
■環境
環境は特に大事です。今回はグラウンドと進路実績についてご紹介します。
グラウンド
サッカーをするのであれば、サッカーができるグラウンドがなければならないのは当然ですよね。しかし、場合によってはグラウンドが使えない場合も出てきます。部活とクラブチーム両方を見てみましょう。
部活
部活だとグラウンドを十分に使うことができません。理由は2つあります。
1つ目は他の部活も使っているから。グラウンドを使うのはなにもサッカーだけではありません。野球やソフトボール、陸上など屋外競技はたくさんあり、皆で使わなくてはなりません。しかし、中学校のグラウンドはサッカーコート1面が標準サイズなので他の部活がある中でサッカーを100%出来るかと言われると答えはNOです。
2つ目は環境の変化に弱いことです。部活で使うのは自分の学校のグラウンドのみです。当たり前ですよね。しかし、学校でグラウンドや近くの校舎の工事が行われると、たちまち使えなくなる、もしくは練習スペースが減ることになります。商業施設をお金を払って借りる可能性も0ではありませんが、ほぼありえません。学校のグラウンドが使えないと練習はできなくなります。
クラブチーム
クラブチームの場合、特定のグラウンドを抑えていて、そこが使えなくても別の場所を借りる選択肢があるためサッカーができなくなることはありません。チームによっては自分のグラウンドを持っている場合もあります。また貸し切り状態のため、好きな練習を自由な規模でできるのも大きなメリットになります。
早い話がコネです。クラブチームならサッカーチームの横や縦のつながりを複数持っているため、サッカー推薦で高校に入れる確率が高いのに比べて、中学の部活の先生がコネを持っている可能性は低いと考えられます。コネのある先生が全くいないとは言えませんし、クラブチームに入ったからもう大丈夫!という話でもありませんが、クラブチームはサッカー選手を育成するための場所です。サッカーで進路を勝ち取りたいならクラブチームがいいでしょう。
■指導者
①指導力
サッカーをするうえで一番大事とされるのが指導者です。クラブチームの指導者はサッカー選手を育てることが仕事です。そのために頭と時間を注ぎ、日々の練習、試合でのパフォーマンスを向上させ、選手としての上達を目指しています。
対して、部活は先生です。先生の仕事は勉強を教えることであって、サッカーを上達させるために今の仕事を選んでいるのではありません。また、先生なので指導者を選ぶこともできません。当然ですが、指導のクオリティも練習の濃さもクラブチームは負けないでしょう。
②指導量
そして後ほど解説するといった練習量の項の件ですが、結論は指導者の休みの有無です。クラブチームの指導者は合宿に合わせ休みを調整できますが、先生はそうはいきませんよね。毎日学校で働いて、土日も遠征、長期休みも全部合宿となれば、いつか壊れてしまうでしょう。そのため休日も十分な練習時間を確保しようと思うならクラブチームがおすすめです。
■チームの認識
音楽性の違いってよく聞きますよね。方向性が違うから解散というあれですが、サッカーにも当てはまります。クラブチームに入る子の目的は、サッカーが上手くなることだと思います。あくまで個人の実力を上げるためにチームを利用し、試合で活躍することが自分の未来につながるからです。そしてチームメイトのお互いが同じ目的を掲げているので技術を盗みあい、食らいあい切磋琢磨できる環境にあります。
しかし、部活は違います。サッカーが面白そうと思った子も、続けているから何となく入った子も、全国を目指したい子も様々です。チームの実力が一定ではなく、目標がばらばらになることもしばしばあります。(部活が弱いというわけではありません)
■まとめ
筆者の考えをまとめると、
✔部活向きの人
- 金銭的に余裕がない
- サッカーは趣味くらいの考え
- 塾など他の習い事にも行く予定
✔クラブチーム向きの人
- サッカーが本当に上手くなりたい
- 試合や練習をたくさんしたい
- 環境や指導者を選びたい
- サッカーで進学したい
勿論友達が入っている方に入るといった理由でもOKですが、やはり大事なのは「子供にとってどちらの選択が最善なのか」だと思います。全国を本気で目指している子が無名の中学に入って優勝できるのは漫画やフィクションだけの話です。
子供が後悔しない選択をするためにしっかりと親子で話し合いましょう。