「膝の下がボコッと膨らんでいる」「膝が痛い、熱を帯びている」スポーツを頑張っているお子さんが膝の痛みや違和感を訴えたり、正座や階段の昇降運動をしんどそうにしているならオスグッドの可能性があります。このオスグッドを成長痛と勘違いし、放置していると、最悪、手術をしなければならない場合もあります。子供の成長とスポーツにつきもののオスグッド、今回はオスグッドの原因や症状について解説していきます。
■ オスグッドとは?
オスグッドは正式名称を「オスグッド・シュラッター病」といい、整形外科医のオスグッド先生と外科医のシュラッター先生が由来となっています。脛骨粗面と呼ばれる膝のお皿の下の骨が隆起し、少しずつ突出することで、腫れと痛みを引き起こすオーバーユース障害の一つです。
男女比では男子が多いのもオスグッド病の特徴の一つです。痛みが生じる理由は、脛骨粗面と結びついている太もも前面の筋肉、「大腿四頭筋」が収縮するためです。子供はまだ骨が成長しきっていないため、軟骨の部分が多く、筋肉の収縮を繰り返した結果、骨が一部剥がれてしまい痛みを引き起こしているのです。
■ オスグッドに罹る原因と年齢
オスグッドは先程もお伝えしたように、オーバーユース障害、つまり運動しすぎが原因の疾患です。バレーボールやバスケットボールのジャンプや屈伸運動、サッカーや野球のダッシュやキックの動作を繰り返し行っていると、膝に負荷がかかり、脛骨が強く大腿四頭筋に引っ張られ、骨が剥離してしまいます。
そしてもう一つの特徴は年齢です。発症するのは小中高生、主に10~15歳の成長期の子供に多く見られます。この時期は急に身長が伸びる子もおり、軟骨から骨へ変わっていく時期でもあります。しかし、まだ成長途中ということもあって、膝への負荷と成長期が重なってしまうとオスグッドを引き起こす可能性が上がります。
なのでオスグッドの直接の原因としては2つです。
- 成長期の子供のため骨がまだ柔らかいから
- スポーツのし過ぎ、オーバーワークのため
■ 「オスグッド=成長痛」ではありません
オスグッドは成長期に発症するため、成長痛と思われがちですが、それは大きな誤りです。
一番大きな違いは発症する年齢です。成長期は幼児~小学校低学年頃に生じるのに対し、オスグッドは小学校高学年~中高生の時期に罹ります。また、成長痛は放っておけば自然と治るのに対し、オスグッドは現状維持をしても治りません。しばらくはスポーツを控えて、安静に過ごす必要があります。無理に体を動かすと、成長期が終わってからも痛みを伴い、後遺症となる可能性があります。
■ オスグッドの応急処置
もしお子さんが膝の痛みを訴え、その症状がオスグッドに酷似しているなら応急処置として「アイシング」がお勧めです。
ビニール袋などに氷水を入れ、タオルで多い患部にあてがいましょう。膝のお皿の下、痛みや熱を帯びている場所を中心に冷やしましょう。また、市販のものでオスグッドバンドと呼ばれるサポーターもあります。こちらは膝の痛みを軽減することができます。
■ 放置はNG。すぐに病院へ
「今休んだらレギュラーから外されそう」「痛いけど皆が練習頑張ってるから自分も頑張らないと」
こういった理由でオスグッドの痛みを我慢してスポーツする子供は意外と多いです。
また、症状は出ているけれど、何の病気なのか分からず悩んでいる、不調だけど自分では上手く説明できない場合もあります。絶対に放置してはいけません。違和感を感じるなら病院に相談しましょう。今まで頑張っていただけに、ここで足踏みすることを躊躇う気持ちは痛いほど分かります。
しかし、もし今のまま膝に過剰な負担をかけ続けた場合、外科手術の必要や選手生命にも関わってくる可能性があります。筆者も学生の時、サッカーで膝を怪我しましたが、治療に専念することで今では完治し、ボールを蹴れています。周囲の大人が子供の変化に気づき、体を休めることの重要性を教えてあげましょう。プロでも怪我はするものです。大事なのは今、何をすることが正解なのか見極められる判断力ではないでしょうか。